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〜イタリアーノなトマトの帝王〜

こんにちは、野菜ソムリエプロのMasakoALAです。
梅雨真っ盛りですね。
もうしばらくこの湿気との戦いが続きます。
日にもよりますが、なかなかハードですよね。
肌で感じるだけでこの湿気、体内もかなり湿気ているのです。
そのせいで、怠くなったり、むくみやすくなったりしています。
そして気づかぬうちに冷えているのです。
この時期は冷たいものを取り入れるのには実はまだ早く、
取りすぎると胃腸にダメージを与えやすく、夏バテの道を作ってしまいます。
そんなことを、少し気に留めていただけたら、と思います。

トマトを作る上では、雨の影響で割れやすくもなるでしょうから、
トマト農家にとっては戦いの時期でしょう。
空梅雨も困りますが、豪雨といった極端な雨はごめん被りたいものですね。

前回のコラムで綴りましたトマトの歴史。
イタリアでトマトがどのように妙薬として重宝されたかをお届けしました。
今回は、そんなイタリアで世界的にも有名になった品種のお話です。

イタリアではトマトの最盛期に、マンマの味と呼ばれる保存用トマトを一年分作るようです。
いわゆるお袋の味。
家族で作られた保存用トマトソースはイタリアの食卓で欠かせないものとなります。
トマトのホール缶もそんなイタリアで貯蔵用として生まれました。
私たちが目にする、イタリアからの輸入トマト缶によく描かれているトマトは、
普段、生食で口にするものとは全然違う風貌をしていますよね。
縦長の円筒形をしていて、トマトというより太めの唐辛子が巨大化したものように見えます。

その名はサンマルツァーノ。
2000年にはニューヨーク・タイムズ誌に
「数ある種類の中で、サン・マルツァーノ種こそこの世の中で最もおいしいトマトである」
という内容の記事が掲載されたようです。
トマトの帝王。
昔ながらの味わいは品種改良を重ねられて、なくなってしまっているものの、
やはりこれだけイタリア産のトマト缶に使われているのですから、
加工用・調理用トマトとしては不動の存在なのでしょう。
サンマルツァーノは生で食べてもあのトマトの美味しさはそこまで感じられません。
果肉が肉厚なので、食べ応えのある、ずっしりとした食感で、
ゼリー状のとろっとしたところがトマトの醍醐味と感じる方には物足りなさを感じるでしょう。
とにかく、加熱しても水っぽくならず、旨みが多い、トマトソースに最適な品種なのです。

そんなサンマルツァーノでも微妙に違う2種を入手することができました。
さぁ、食べ比べ。
生産者さんのお勧め通り、水分が多めのものは他の食材と煮込み、
少なめのものはパスタソースにしました。


タコと煮込み、溺れタコと呼ばれる一品風に


鶏とナス、ジャンボニンニクとの煮込み


シンプルなトマトソースパスタ

調理してみると、同じサンマルツァーノでも、こんなにも違うのかと実感します。
大きな括りで、同じ種でも、その中にもいろいろな種類があり。
更に、土が違えば、作り手さんが異なれば、できあがるものは全く別ものとなります。

こちらのトマトたちも然りです。
先日、立ち寄ったお店で売られていたプチぷよを食べました。
見た目は、やっぱりプチぷよ。
食感もそう。
けれども、味わいは似て非なるものでした。
結局のところ、品種はある程度モデルケース的なもので、
そこから如何ように育てていくかで、
仕上がりはそれぞれの作り手さんの個性が魅力となるのですね。
常に、より良いものを作ろうという探求心があってこそなんだなぁ、と改めて感じた次第です。
また、行き着く先が、食べる側の嗜好と一致するかどうかも、人それぞれでもありますね。
千差万別。
人も青果物も同じです。

さぁ、梅雨明けまでもうひと踏ん張り。
湿気に負けず、過ごしてまいりましょう!

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